遺品整理はうつ病につながる?心の負担を軽減する方法と対策
- nishizaki53
- 8月5日
- 読了時間: 12分
更新日:2 日前
更新日:2025年08月12日

遺品整理は、精神的・肉体的に大きな負担を伴う作業です。過度なストレスが続くと、うつ病などの深刻な状態に陥る可能性もあります。
この記事では、ご遺族の心身の健康を守りながら、故人を穏やかに送り出すための具体的な方法や対策を解説します。
【目次】
遺品整理がうつ病につながる理由

なぜ遺品整理という作業がうつ病の引き金となってしまうのでしょうか。その背景には、心と体の両面にわたる過酷な負担が存在します。
心理的な負担がかかるから
遺品整理は故人の「死」というつらい現実と、改めてそして強制的に向き合わされるプロセスです。
故人が大切にしていた品々に一つひとつ触れるたびに楽しかった思い出が鮮やかに蘇り、もう二度とその笑顔に逢えないという計り知れない喪失感が心を襲います。
「もっと何かしてあげられたのではないか」「どうして助けてあげられなかったのか」といった後悔や自責の念に苛まれることも少なくありません。
こうした深い悲しみと罪悪感が長期にわたって心に重くのしかかり続けることで、精神的なエネルギーが枯渇し無気力や気分の落ち込みといったうつ病の症状へと繋がっていくのです。
肉体的な負担がかかるから
精神的なつらさに加え、遺品整理には大きな肉体的な負担も伴います。
家一軒分の膨大な量の家財を仕分け、梱包し、そして搬出する。
また、タンスやベッドといった重量物の移動や、長年にわたって溜まったホコリの中での作業は、想像以上に体力を消耗します。
特にお仕事をされながら休日などを利用して作業を進める場合、十分な休息が取れないまま心身ともに疲労が蓄積していきます。
この過度な肉体的疲労が自律神経の働きを乱し、精神的な落ち込みをさらに深刻化させてしまうという悪循環に陥りやすいのです。
遺品整理時のうつ病対策と心の負担を軽減する方法

では遺品整理というつらい作業を乗り越え、ご自身の心と体を守るためにはどうすればよいのでしょうか。
一人で抱え込まないための3つの具体的な対策をご紹介します。
家族や友人ときちんとコミュニケーションを取る
まず最も大切なことは、ご自身のつらい気持ちを一人で抱え込まないことです。
故人を同じように大切に想うご家族やご親族と、遺品整理の大変さや故人との思い出を分かち合いましょう。
一緒に作業を進めることで肉体的な負担が軽減されるだけでなく、「この悲しみを感じているのは自分一人ではない」という連帯感が心の支えとなります。
また信頼できる友人にただ話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることがあります。
ご自身の感情を素直に吐き出せる場所を持つことが重要です。
医師に相談する
もし不眠や食欲不振、気分の極端な落ち込みといった症状が2週間以上続くようであれば、それは心が限界に達しているサインかもしれません。
そのような場合はためらわずに、心療内科や精神科といった専門の医療機関を受診し、医師に相談することを強くお勧めします。
うつ病は早期に適切な治療を受けることで回復が早まる病気です。
「自分の気持ちが弱いせいだ」などとご自身を責める必要は全くありません。
専門家の助けを借りることは決して恥ずかしいことではないのです。
専門の業者に依頼する
精神的にも肉体的にも遺品整理をご自身で行うことが困難だと感じた場合には、遺品整理の専門業者に作業を丸ごと依頼するという選択肢があります。
これは決して故人への想いが薄いということではありません。
むしろご自身の心と体の健康を守り、穏やかな気持ちで故人を偲ぶ時間を確保するための非常に賢明でそして愛情深い決断です。
プロの業者はご遺族の気持ちに深く寄り添いながら、膨大な量の遺品を迅速にそして丁寧に整理してくれます。
ご自身で全てを背負う必要はないということをどうか覚えておいてください。
遺品整理時にうつ病の症状が表れた際の対処法

もし遺品整理の過程で心が疲弊し、うつ病に近い症状が現れてしまったらまずはご自身を守ることを最優先に考えてください。
一人で抱え込まないようにする
繰り返しになりますが、最も重要なのは一人で孤立しないことです。
パートナーやご兄弟、あるいは親しい友人に「今とてもつらい」と正直な気持ちを打ち明けてください。
ご自身の弱さを見せることを恐れる必要はありません。周りの人々はきっとあなたの力になりたいと願っているはずです。
また地域の保健所や精神保健福祉センターなどでも無料で、心の健康に関する相談を受け付けています。
こうした公的なサポート機関を頼ることも有効な手段です。
休息をきちんと取る
心が疲れているときは体も同じように疲弊しています。
遺品整理の作業は一度思い切って中断し、意識的に心と体を休ませる時間を作りましょう。
十分な睡眠をとることはもちろん、美味しいものを食べたり好きな音楽を聴いたり、自然の中で深呼吸をしたり。
「何もしない」という贅沢な時間をご自身に許可してあげてください。
無理に頑張り続けることだけが故人のためになるわけではありません。
まずご自身の心が元気を取り戻すことが何よりも大切なのです。
遺品整理時のうつ病でのセルフケア

専門家の助けを借りると同時に、ご自身でも日々の生活の中で心を少しでも軽くするためのセルフケアを取り入れてみましょう。
生活習慣を整える
うつ病の症状を和らげるためには、乱れがちな生活リズムを整えることが非常に重要です。
まず毎朝同じ時間に起き、カーテンを開けて太陽の光を浴びること。
これにより体内時計がリセットされ、精神を安定させるホルモンである「セロトニン」の分泌が促されます。
夜はできるだけ決まった時間にベッドに入り質の良い睡眠を心がけましょう。
不規則な生活は心身の回復を妨げ、症状を悪化させる原因となります。
バランスのよい食事を心がける
心の健康は日々の食事とも深く関わっています。
特定の食品に偏るのではなく、様々な食材をバランス良く摂ることが大切です。
特にセロトニンの材料となる必須アミノ酸「トリプトファン」(大豆製品、乳製品、バナナなど)や、神経の働きをサポートする「ビタミンB群」(豚肉、レバー、玄米など)、そしてミネラル類を意識的に摂取すると良いでしょう。
食欲がない時でも無理のない範囲で少しでも口にすることが、心のエネルギーを補給することに繋がります。
リラックス効果のある行動を生活に取り入れる
ご自身が心から「心地よい」と感じるリラックスできる行動を、日常生活に意識的に取り入れましょう。
例えばぬるめのお湯にゆっくりと浸かりアロマオイルの香りを楽しむ。あるいは軽いウォーキングやストレッチで体を動かし血行を促進する、または好きな音楽を聴きながら温かいハーブティーを飲む。
こうした五感を優しく刺激する穏やかな時間は、高ぶった交感神経を鎮め心身をリラックスさせる副交感神経を優位にしてくれます。
遺品整理の進め方
心の負担を少しでも軽くしながら遺品整理を進めていくためには、その「進め方」にもいくつかのコツがあります。
ステップ①遺品を分類する
まず家の中にある全ての遺品を、「残すもの」「保留するもの」「処分するもの」の3つに大きく分類することから始めます。
この時一つひとつに深く思いを馳せすぎると作業が全く進まなくなってしまいます。
まずは直感的に機械的に仕分けしていくのがポイントです。
判断に迷うものは全て「保留」の箱へ。この「保留」という逃げ道を作っておくことが精神的な負担を和らげてくれます。
ステップ②必要書類を保管する
遺品の中には預金通帳や印鑑、不動産の権利証、保険証券、年金手帳といった、その後の相続手続きに絶対に必要となる重要書類が紛れている可能性があります。
これらの重要書類を誤って処分してしまわないよう、仕分けの早い段階で見つけ出し別の場所にまとめて大切に保管しておくことが非常に重要です。
ステップ③大型の遺品を片付ける
仕分けがある程度進んだら、まずはタンスやベッド、あるいは冷蔵庫やテレビといった大型の家具・家電から片付けていきましょう。
大きな物がなくなるだけで部屋全体がすっきりと見違えるようになり、その後の細かな作業へのモチベーションが高まります。
これらの大型の不用品は自治体の粗大ゴミ回収や不用品回収業者に、計画的に依頼する必要があります。
ステップ④小型の遺品を片付ける
大型の遺品が片付いたら最後に、衣類や食器、本、雑貨といった細かな遺品の整理に取り掛かります。
「残す」と決めたものは丁寧に梱包し、「保留」にしていたものは改めて時間を置いてからもう一度見直し、どうするかを最終決定します。
そして「処分する」と決めたものは自治体のルールに従って分別し廃棄します。
ステップ⑤必要に応じて心理的なサポートを受ける
遺品整理のプロセスはグリーフケア(悲しみのケア)の一環でもあります。
作業のどの段階においてもつらい気持ちや悲しみが込み上げてきたら、決して我慢しないでください。
ご家族や友人と気持ちを分かち合ったり、あるいはグリーフケアを専門とするカウンセラーやサポート団体に相談したりすることも、非常に有効な心のケアとなります。
遺品整理業者の選び方
ご自身の心と体の負担を軽減するために専門業者に依頼することを決めた場合、そのパートナー選びは非常に重要です。
業者に依頼することは遺品整理に伴ううつ病の有効な抑制策ともなります。
まず「遺品整理士」の資格を持つスタッフが在籍しているかどうか。これはその業者が遺品の専門的な取り扱いの知識と、ご遺族への配慮を持っていることの一つの証となります。
次に、見積もりが明確で詳細であるかどうか。作業内容や料金体系が不透明な業者は、後から高額な追加料金を請求してくる可能性があります。
そして何よりも電話や面談の際のスタッフの対応が親身で誠実であるかどうか。あなたの悲しみに寄り添い、故人の思い出を敬意をもって扱ってくれる。
そんな心から信頼できる業者を選ぶことが大切です。
遺品整理とうつ病に関するよくある質問
これまでの記事では、遺品整理と心の健康との関係や、うつ症状がある場合の進め方を解説しました。小さな作業から始め、必要であれば専門家や業者に頼ることが望ましいです。
ここでは、遺品整理とうつ病に関するよくある質問の回答をご紹介しますので、ご参考ください。
遺品整理が原因でうつ病になることはありますか?
はい、遺品整理がきっかけでうつ病のような症状が出ることはあります。故人との思い出や喪失感が強く心に影響を与え、精神的な負担が大きくなるためです。
特に一人で抱え込む場合や、作業を急ぎすぎる場合はリスクが高まるため、周囲のサポートを受けることが重要です。
うつ病の症状がある場合、無理せず進める方法はありますか?
はい、作業を細かく分けて少しずつ進めることが大切です。短時間だけ作業する、感情的に負担が大きい物は後回しにするなど、心身に優しい計画を立てましょう。
必要であれば家族や友人、遺品整理業者に一部または全てを依頼し、無理を避けることが望ましいです。
心のケアをしながら整理するにはどうすればいいですか?
まずは自分の気持ちを否定せず、悲しみや感情を受け止めることが大切です。作業の合間に休憩を取り、故人との思い出を話せる人と共有することで、心の負担が軽くなります。
また、カウンセリングやサポート団体を利用することも有効な方法です。
遺品整理にかかる費用はいくらですか?
間取りや荷物量によりますが、一般的には5万円〜20万円程度が多いです。一軒家や荷物が多い場合、特殊清掃を伴う場合はそれ以上かかることもあります。
正確な金額を知るには、複数業者から見積もりを取ることが重要です。
遺品を捨てると運気が上がるのはなぜですか?
遺品を整理・処分すると、住環境が整い気持ちが前向きになるため、心理的に「運気が上がった」と感じやすくなります。不要な物を手放すことで空間が広がり、新しい物事や人間関係を受け入れやすくなる効果もあります。
これは科学的な証明というよりも、心の変化による実感に近いものです。
うつの人はなぜ片付けができないのでしょうか?
うつ状態では集中力や判断力が低下し、片付けの手順や優先順位を決めることが難しくなります。また、体力や気力が落ちて行動自体が億劫になるため、作業が進まなくなります。
こうした場合は無理をせず、周囲の支援や専門のサービスを利用することが望ましいです。
まとめ
今回は遺品整理が心に与える大きな負担とそれがうつ病に繋がるリスク、そしてそのつらい状況を乗り越えるための具体的な対策について詳しく解説しました。
大切なご家族を失った悲しみは決して簡単には癒えるものではありません。その深い悲しみの中で故人が遺した全ての思い出と向き合う遺品整理という作業は、あまりにも過酷です。
どうかご自身を追い詰めすぎないでください。
そしてその重すぎる荷物を、少しだけ誰かに預けるという選択肢があることを、忘れないでください。
大阪の遺品整理業者・ストーリーズ株式会社は単に物を片付けるだけの業者ではありません。故人が歩んできた人生の証ともいえる大切な「物語(ストーリー)」を、ご遺族のお気持ちに深く寄り添いながら、一つひとつ丁寧に未来へと受け継いでまいります。
ご自身で遺品整理を行うことに精神的なご負担を感じられる場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
監修者

ストーリーズ株式会社 代表取締役
江里 知晃
<資格>
<略歴>
高校卒業後、大学では社会福祉学を専攻。卒業後、大手飲食店でキャリアを積み、顧客対応や店舗運営の経験を積む。その後、遺品整理専門会社を2社で6年間経験。
現在はストーリーズ株式会社の代表取締役に就任し、お客様の遺品整理業務に自ら尽力している。
<代表メッセージ>
私たちは、故人様とご遺族様の「物語(ストーリーズ)」を大切にし、お客様に「ストーリーズに頼んで良かった」と思っていただけるよう、日々遺品整理の業務に励んでおります。今後も、お客様に安心してお任せいただけるよう、全力を尽くしてまいります。
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