大切な家族が亡くなった後、残された遺品をどのように整理するかは、多くの人にとって大きな課題です。
「遺品整理はいつから始めるべきなのか」「どの時期に行えば後悔しないのか」など、疑問や不安を抱える方は少なくありません。
実際には、葬儀や法要、相続手続きなどのタイミングに合わせて少しずつ進めるケースもあれば、落ち着いてからまとめて行う方もいます。
しかし、遺品整理の時期を誤ると、必要な手続きや心の整理を十分行えず、後になって手間やトラブルが増えてしまう可能性もあります。
本記事では、「遺品整理はいつから始めるとスムーズなのか」「どのようにタイミングを見極めればよいのか」という視点で、一般的な遺品整理の時期や具体的な見極め方、整理の方法・流れについて詳しく解説します。
さらに、実際に遺品整理を行う際のポイントを押さえておくことで、誤った処分や親族間のトラブルを防ぎながら、故人をしっかり送り出す手助けとなるはずです。
ぜひ最後までご覧いただき、悔いのない遺品整理を行うためのヒントを見つけてください。
【目次】
遺品整理はいつから？一般的な遺品整理のタイミング
遺品整理を始めるにあたって、明確な「正解」が存在するわけではありません。
さまざまな事情や家族構成によって、最適な時期は異なります。
しかし、多くの方が目安としているタイミングはいくつか存在するので、代表的なものを順に見ていきましょう。
葬儀のあと
もっとも早い時期で遺品整理を始めるケースは、葬儀が終わった直後です。
通夜や告別式で親族が集まるタイミングを利用して、みんなで遺品を確認・分配しながら整理するパターンが挙げられます。
このメリットは、遠方に住む親族が集まっているうちに、形見分けや必要書類の仕分けが一度に進められる点です。
一方で、葬儀直後は気持ちの整理がついていないことが多く、悲しみや疲れで冷静な判断ができない場合もあります。
結果的に「不要だと思って捨ててしまったけれど、実は大切なものだった」という事態を招くリスクがあるため、注意が必要です。
社会保険・役所関連等の手続き後
死亡届の提出や健康保険、年金などの社会保険関連手続きを行う時期（おおむね亡くなってから2週間以内など）を一区切りと考え、落ち着いてから遺品整理に着手する方もいます。
相続に関する手続き（名義変更など）はもう少し先になる場合もありますが、最低限必要な役所の手続きが片付いた後であれば、時間的・精神的にも少し余裕が持てることでしょう。
また、社会保険や年金の手続きを進める中で、故人の通帳や証券類など重要書類が見つかるケースもあります。
これらが整理の際に混同されると、後々手続きに支障をきたす恐れがあるため、一時的に取り分けておくのがおすすめです。
四十九日法要のあと
四十九日法要は、故人が成仏して仏になるとされる重要な節目と考えられています。
このタイミングは、親族が再度集まりやすく、心の整理もある程度進んでいる時期です。
四十九日を機に日常を取り戻す方が多いこともあり、「法要が終わったら少しずつ遺品を整理しよう」と考えるパターンが一般的と言えます。
特に、葬儀直後には手が付けられなかった故人の衣類や日用品など、今後使わなくなる物を確認するにはちょうどよい時期です。
法要で親族と話し合い、「どの品を誰が保管するのか」「形見分けはどうするのか」を相談してから整理を進められます。
相続放棄の期限前
相続には、故人の財産を引き継ぐ「相続」だけでなく、借金や負債などを含め一切の財産を放棄する「相続放棄」も選択肢として存在します。
相続放棄を検討している場合、その申立て期限（通常は故人が亡くなったことを知ってから3か月以内）までに、どの程度の資産や負債があるかを把握しなければなりません。
このため、財産状況を確かめるべく、遺品整理の一環で通帳や借用書、ローン関係の明細などを早期に確認することが多いです。
もし借金が多いことがわかった場合は、相続放棄の手続きに踏み切るかどうかを判断できるよう、期限内に必要最低限の整理を進めておく必要があります。
相続税の申告期限前
相続税が発生する可能性がある場合、故人の遺産総額を評価し、申告・納税する必要があります。 相続税の申告期限は、原則として故人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
この間に遺産分割協議を済ませ、どの財産をどの相続人が相続するか決める必要があるため、遺品整理もそれまでにある程度進めておく必要が生じます。
特に、美術品や骨董品、貴金属など評価額が大きいものは相続税の計算に影響を与えることがあるため、早い段階で専門家に査定を依頼するケースもあります。
その結果によっては、売却するかどうかの判断も必要になることがあるでしょう。
賃料や固定資産税が発生する前
故人が賃貸物件に住んでいた場合、部屋を引き払うまで家賃が発生し続けるため、早めに退去手続きを進めたいという事情があります。
また、故人名義の不動産を相続した場合は、固定資産税などの維持費がかかってくることもあり、必要以上に費用負担を増やさないためにも、ある程度の整理を急ぐ方が良いでしょう。
ただし、急ぐあまりに大切な書類や物品を誤って処分してしまうと取り返しのつかない結果になりかねません。
上記の観点と、家賃や税金の負担を天秤にかけながら、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
気持ちが落ち着いてから
最後に挙げるのは、「自分や家族が心の準備を十分に整えた上で」という観点です。
人によっては、法要や相続手続きを終えても、すぐに故人の遺品に手をつける気になれないこともあります。
無理に作業を始めると、感情的になり冷静に整理できず、後から後悔するケースも少なくありません。
逆に、しばらくの間部屋をそのままにしておき、悲しみや想い出と共にゆっくり過ごしたいという方もいます。
こうした場合は、焦らずにある程度時間を置き、気持ちが落ち着いてきたタイミングで少しずつ整理を進めるとよいでしょう。
遺品整理のタイミングを見極める方法
遺品整理を行うタイミングは、前述のような法要や相続手続き、家賃・固定資産税などの経済的事情だけでなく、家族構成や遺品の内容によっても大きく左右されます。
ここでは、具体的にどのようなポイントを踏まえて「今が整理のベストタイミング」と判断すればよいのかを見ていきましょう。
遺品の量や種類
故人が長年住んでいた家の場合、膨大な量の遺品が出てくることがあります。
書類や手紙、衣類、家具、家電、趣味のコレクションなど、整理に相当な手間と時間がかかるケースでは、短期間で一気に片付けるのが難しいでしょう。
そのため、相続税の申告期限や賃貸の退去期限など「物理的な締切」が迫っているなら、早めに一部だけでも整理を進めるか、業者の力を借りることを検討する必要があります。
一方、遺品の量が少なく、特に急がなければならない事情もない場合は、四十九日や一周忌を過ぎてから落ち着いて作業に取り組むのもよい方法です。
作業する人の年齢や人数
遺品整理を行うメンバーの年齢や健康状態、人数によっても、作業に取りかかる時期やペースは変わります。 高齢の親族が中心となる場合、長時間の片付けや重い荷物の運搬は体力的に厳しいことも。
その場合は、休日を利用して若い世代がサポートする日を設けたり、専門業者の手を借りるのも選択肢です。
人数が少なく、遠方から頻繁に通えない場合も「まとまった休みを取れる時期」に合わせて一気に整理するという手段があります。
ただし、この場合でも重要書類や思い出の品を誤って処分しないよう、下準備をしっかり行うことが大切です。
遺品整理の目的
遺品整理をする目的によって、タイミングは変わってきます。
例えば、親族同士で故人の遺品を分配（形見分け）したいのか、不動産を売却や賃貸に出すために部屋を空ける必要があるのか、あるいは相続税の計算に必要なのかなど、目的はさまざまです。
目的がはっきりしていれば、それに合わせて「いつまでにどの程度の整理を完了させるべきか」の見通しも立てやすくなります。
逆に、目的が明確でないまま始めると、家族間で意見が食い違い、作業がスムーズに進まなくなる恐れがあるため、事前の話し合いが重要です。
遺品整理の方法
遺品整理を実際に始めるとき、どのように進めるかは大きく分けて2パターンあります。
「自力（遺族）で整理する」のか、「業者に依頼する」のか、それぞれの特徴を見ていきましょう。
遺族で整理する
家族や親戚同士で協力しながら遺品を仕分け・処分する方法は、コストを抑えられる一方、ある程度の時間と労力が必要です。
故人の思い出に触れながら、自分たちのペースでじっくり作業できるメリットがありますが、大量の荷物や大型家具などを扱うのは体力的に負担がかかる可能性があります。
また、親族間で意見が分かれやすい品物（形見の受け取り先など）がある場合も、直接話し合いながら進められるのは利点と言えるでしょう。
ただし、時間がかかるため、相続手続きなどの期限が迫っている場合には注意が必要です。
業者に依頼する
専門の遺品整理業者や不用品回収業者に依頼する方法は、短期間で一気に整理を進めたい方や、遠方に住んでいて頻繁に作業ができない方に適しています。
業者によっては、荷物の搬出や不要品の買取、掃除・片付けだけでなく、特殊清掃や相続関連の手続きサポートなど、幅広いサービスを提供している場合もあります。
ただし、業者を選ぶ際には、信頼できる会社かどうか（見積もりの明瞭性、作業の丁寧さ、追加費用の有無など）をしっかりチェックしましょう。
適正な料金を比較検討するためには、複数社から見積もりを取り、作業内容と費用をきちんと確認することをおすすめします。
遺品整理の流れ
実際に遺品整理を行う際の大まかな流れは、以下のステップに沿って進むことが多いです。
各ステップでのポイントを押さえておくと、スムーズかつ誤廃棄を減らすことができます。
1.事前準備
遺品整理の目的や期限を確認し、家族や親族間で意見をすり合わせる
必要な手続き（相続や名義変更など）の有無を把握しておく
業者に依頼する場合は、見積もりを比較し信頼できる会社を選定
2.重要書類・貴重品の捜索
通帳、印鑑、保険証券、土地の権利書など相続手続きに必要な書類を最優先で探す
タンスや引き出し、棚の奥や衣服のポケットなども丁寧に確認
3.遺品の仕分け（必要・不要の分類）
衣類、家具、雑貨、家電などをカテゴリごとに分けて仕分け
思い出の品や保留にしたいものは別枠で管理
4.形見分け・買取・処分
家族・親戚で形見分けを行い、譲り合う品を決定
ブランド品や骨董品などの買取業者への査定依頼
不要品はゴミとして処分するか、リサイクル業者に引き取ってもらう
5.清掃や補修
全ての荷物を搬出した後、部屋の掃除を行う
必要に応じてリフォームや補修が必要か検討
6.最終確認
捨てる予定の品、保管する品、手続きに関わる書類などの最終チェック
不備や漏れがないか家族間で確認し、終了
遺品整理を行うポイント
遺品整理は感情的にも負担が大きく、また相続や手続きの観点からもミスが許されない場面です。
下記のポイントを押さえておくと、遺品整理をよりスムーズかつ的確に進められるでしょう。
故人の遺志を確認しておく
故人がエンディングノートや遺言書を残している場合、まずその内容をよく確認してください。
「どの品物を誰に渡してほしいのか」「生前どうしてほしいと話していたか」など、故人の想いを尊重することで、家族間のトラブルを防ぐことにもつながります。
特にエンディングノートには、貴重品の場所や重要書類に関する情報が記載されていることもあるので、見落とさないようにしましょう。
対応する手続きの内容を把握しておく
相続や名義変更、保険の請求、年金の停止手続きなど、死亡後に必要となる事務手続きは多岐にわたります。
これらに必要な書類が遺品整理の段階で誤って廃棄されないよう、どのような手続きが待っているのかを一通り把握しておくことが大切です。
銀行や保険会社からの郵便物、請求書なども混じっている場合があるため、郵便物を処分する際は十分注意しましょう。
事前に計画を立てておく
闇雲に部屋を片付け始めると、どこから手をつければいいか分からなくなり、結果的に時間ばかりかかる上にミスも生じやすくなります。
まずは「いつまでに終わらせたいか」を決め、そこから逆算して作業のスケジュールを立てましょう。
法要や相続放棄の期限、相続税の申告期限などがある場合は、それらを最優先の基準とするのがおすすめです。
遺品を分類しておく
不要品・必要品・保留品など、カテゴリ別に箱や袋を用意して仕分けすると効率的です。特に重要書類や通帳などは、混ざると紛失の原因になるため、一箇所にまとめて保管するようにしましょう。
大型家具や家電は買取・処分の手配を行う際にも種類ごとに整理しておくと、見積もりや運搬がスムーズに進みます。
判断に迷うものは保留にしておく
思い出の品などは、感情が込み上げてきて「これはどうすればいいのか…」と迷ってしまうことがよくあります。
そんなときは、無理にその場で判断せず、別の箱やエリアにまとめて“保留”としておき、後日改めて検討するのがおすすめです。
時間を置いてから見ると、より冷静に判断できるケースが多く、後悔を減らすことにもつながります。
親族に了承を得ておく
複数の相続人や親族が関係する場合、誰がどの遺品をもらうのか、どのように処分するのかについて事前に合意を得ておく必要があります。
勝手に捨てたり、特定の品を独占すると後々トラブルになる可能性が高いからです。
LINEやメール、ビデオ通話なども活用して、離れて暮らす親族とも丁寧にコミュニケーションを取るよう心がけましょう。
月額・年額サービスの更新日を確認しておく
故人がネット回線や携帯電話、各種サブスクリプション（動画配信、会員制サービスなど）を契約していた場合、放置すると自動更新で利用料金が引き落とされ続けることがあります。
そのため、解約手続きや名義変更を行うタイミングを逃さないよう、更新日や支払いのサイクルを確認しておきましょう。
特にクレジットカードで支払っているサービスは、引き落とし先が故人の口座の場合に注意が必要です。
後悔しない遺品整理の第一歩を踏み出そう
遺品整理をいつから始めるかは、人それぞれの事情や心境、法要や相続手続きのタイミングなどによって異なります。
葬儀直後や四十九日法要の後、相続放棄や相続税申告の期限を念頭に進める方法、あるいは気持ちが落ち着いてからゆっくり着手するパターンなど、考え方はさまざまです。
ただし、どの時期に始めるとしても、故人の遺志や相続に必要な書類、親族との話し合いは避けて通れません。
重要書類の捜索や形見分けの分担など、段取りよく進めるには、あらかじめ計画を立て、役割を分担し、迷ったものは保留するといった工夫が効果的です。
また、賃貸物件や固定資産税の負担がある場合や、相続放棄の期限が迫っている場合などは、現実的な締切を意識しながらも、大切な品や書類を誤って捨てないように注意を払う必要があります。
もし遺品の量や作業の煩雑さに不安を感じるなら、遺品整理の専門業者に依頼するのも選択肢のひとつです。
信頼できる業者を選べば、大量の荷物や細かい手続きをスピーディーかつ正確にこなしてくれるため、親族の負担が大幅に軽減されます。
ただし、複数の業者から見積もりを取り、作業内容や料金を比較検討することを忘れないようにしましょう。
大阪の遺品整理業者・ストーリーズ株式会社では、経験豊富なスタッフが一件一件丁寧に対応し、大切な遺品を誤って処分しないよう細心の注意を払って作業にあたります。
相続や名義変更などの関連手続きでお忙しい方や、遠方に住んでいて頻繁に通えない方も安心してお任せください。
遺品整理の時期や進め方に迷われているなら、ぜひ当社までお気軽にご相談いただければ幸いです。
監修者
ストーリーズ株式会社 代表取締役
江里 知晃
＜資格＞
＜略歴＞
高校卒業後、大学では社会福祉学を専攻。卒業後、大手飲食店でキャリアを積み、顧客対応や店舗運営の経験を積む。その後、遺品整理専門会社を2社で6年間経験。
現在はストーリーズ株式会社の代表取締役に就任し、お客様の遺品整理業務に自ら尽力している。
＜代表メッセージ＞
私たちは、故人様とご遺族様の「物語（ストーリーズ）」を大切にし、お客様に「ストーリーズに頼んで良かった」と思っていただけるよう、日々遺品整理の業務に励んでおります。今後も、お客様に安心してお任せいただけるよう、全力を尽くしてまいります。
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