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相続放棄したら遺品整理はできる?注意点をプロが解説



「相続放棄をした場合、遺品整理はできるのだろうか」と疑問をお持ちの方は少なくありません。 相続放棄を行うと、故人の財産や負債だけでなく、その管理や処分における権利も放棄したことになりそうで、実際にどの範囲まで整理に手をつけてよいのか迷うケースが多いのです。


しかし、相続放棄をしたからといって、必ずしもまったく手を出せないわけではありません。 故人の部屋や残された家財道具に対して、一定の範囲内で整理や管理をすることは認められる場面もあります。


本記事では「遺品整理と相続放棄の関係」をはじめ、相続放棄後に遺品整理を行う際にやってはいけないことや、整理ができるケース、具体的な進め方などを詳しく解説します。


また、安全かつ円滑に進めるための注意点を押さえておけば、不要なトラブルを避けながら、故人の住まいや残された物を適切に整理できるでしょう。

相続放棄後の遺品整理についてお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。


【目次】





遺品整理と相続放棄の関係とは?


相続放棄を考えている方は、「放棄をすると故人の遺品に手を触れてはいけないのでは?」と心配になるかもしれません。


ここでは、そもそも「遺品整理」とは何か、そして「相続放棄」とはどのような制度なのかを改めて確認し、その関係性を整理してみましょう。


遺品整理とは何か


「遺品整理」とは、故人が生前に所有していた物品(衣類、家具、日用品、貴金属、書類など)を整理し、残すもの・処分するものを分別する作業のことです。

故人を偲びながら家族や親族が行う場合もあれば、遺品整理業者に依頼してプロの力を借りる場合もあります。


遺品整理は、ただ部屋を片付けるだけでなく、残された物品を通じて故人の思い出を大切にする機会でもあるため、心の整理としての側面も大きいのが特徴です。


相続放棄とは何か


相続放棄とは、相続人が故人の財産(プラスの財産だけでなくマイナスの借金も含む)を一切受け取らないことを意思表示する手続きです。


相続放棄を行うと、「最初から相続人でなかったもの」とみなされ、故人の財産や負債に関する権利や義務を引き継ぐことはなくなります。

そのため、多額の借金を抱えていた故人の負債を背負わずに済む一方、プラスの財産(不動産や預貯金など)を相続できなくなるデメリットもあります。


ポイントとして、相続放棄の申述期限は、自己が相続の開始(故人の死亡)を知ったときから3か月以内と定められており、これを過ぎると原則として放棄できなくなります。(例外的に「熟慮期間の伸長」という制度もありますが、基本的には3か月以内が目安です。)




相続放棄後に遺品整理はできる?


「相続放棄をしたのに、故人の遺品に触れることは財産の処分にあたるのではないか」という不安の声はよく聞かれます。

結論としては、相続放棄をしても、一定の範囲内で遺品整理を行うこと自体は可能です。

ただし、注意が必要なのは「相続財産を処分しないこと」です。


例えば、貴金属や不動産など、価値のある財産を勝手に売却・転用してしまうと「財産を処分した」とみなされ、相続放棄が無効になる恐れがあります。


一方で、「衛生上の理由から腐敗しやすい食品を捨てる」とか、「賃貸物件に住んでいた故人の部屋をある程度片付けないと明け渡せない」というケースでは、必要最低限の処分や作業が認められる場合があります。


その判断が難しい場合は、弁護士や専門家に相談して対応方法を確認すると安心でしょう。




相続放棄後の遺品整理でやってはいけないこととは


相続放棄をした状態で遺品整理を進める際、やってはいけない行為を誤って行うと、放棄が無効になるリスクがあります。


ここでは、主な例をピックアップし、なぜ問題になるのかを解説します。


家具家電の遺品整理


家具や家電の中には高額なものが含まれていることがあります。


単に移動したりメンテナンスするだけなら問題ないケースもありますが、相続放棄をしたにもかかわらず、価値のある家具や家電を売却・譲渡してしまうと「財産処分」と見なされる可能性があります。


売却には気をつけ、どうしても処分が必要な場合は相続人全員や利害関係人の合意を得るなど慎重に進めましょう。


故人の預貯金の引き出しや解約、名義変更


相続放棄を行っているにもかかわらず、故人名義の銀行口座からお金を引き出したり解約したりすると、相続の意思表示とみなされるケースが考えられます。


相続放棄後に勝手に故人の預貯金を使う行為は、「財産の処分」にあたる可能性が高いため、絶対に避けましょう。


実家の解体や売却


実家や持ち家など不動産の処分(解体・売却)も、相続財産に直接手を付ける行為に該当します。


相続放棄をすると、不動産は相続人のものではなくなるため、勝手に解体や売却を行うと法的トラブルにつながる恐れがあるのです。

名義変更の手続きは相続権を持つ人(または相続放棄をしない人)が行うか、裁判所や専門家の指示に従って行うことが望ましいでしょう。


賃貸アパートの解約


故人が賃貸物件に住んでいた場合、通常であれば相続人が貸主に連絡し、退去手続きを進めることになります。

しかし、相続放棄をすると相続人としての地位を失うため、賃貸借契約の解約手続きも慎重に扱う必要があります。


もっとも、賃貸物件をそのままにしておくと家賃が発生し続けるので、物件のオーナーや管理会社と相談して「相続放棄するので明け渡したい」旨を伝え、適切な対応を模索しましょう。


車の処分


車は自動車税や維持費がかかるため、早く処分したいと思うかもしれません。

しかし、相続放棄後に勝手に車を売却・廃車にしてしまうと、相続財産を処分したとみなされる可能性があります。


どうしても処分が必要な場合は、相続権を持つ人間が判断するか、裁判所や専門家へ相談するのが安全です。


故人の借金や税金の支払い


相続放棄をした場合、故人の借金や税金の支払い義務は原則として相続人には引き継がれません。

しかし、一部だけを「善意で支払う」といった行為は「相続の意思」があるとみなされかねず、相続放棄が無効になる恐れがあります。


公的機関への支払いでも「借金の代理弁済」と見なされる可能性があるため、勝手に払わず専門家に相談しましょう。


入院費の支払い


故人が入院していた場合、未払いの医療費や入院費用が請求されていることがあります。

相続放棄後に、それを相続人が自己負担で支払うと、先ほどの借金や税金同様に「相続財産を引き継いだ」と解釈されるリスクがあります。


医療費の支払いに関しても、病院や専門家と相談の上、適切に対応してください。


携帯電話の解約


携帯電話契約は故人の個人名義であることが多く、相続放棄をした人が勝手に解約手続きを行うと「相続人としての行為」と見なされる可能性があります。


ただし、料金が継続して発生する現実的な問題もあるため、携帯会社へ相談し、相続放棄している旨を伝えたうえで対処法を確認するのが無難です。




相続放棄しても遺品整理ができるケース


「相続放棄=遺品に全く手を付けられない」というわけではなく、法律的にも社会的にも妥当性が認められる範囲であれば整理が可能なケースがあります。


以下では、代表的なケースを3つ取り上げます。


故人が孤独死した場合


故人が孤独死して見つかった場合、衛生上の理由から速やかに遺品の片付けや清掃が必要となる場合があります。


遺品整理自体が「環境・衛生を守るためにやむを得ない行為」とみなされれば、相続の意思を示す行為には該当しにくいでしょう。

ただし、財産価値のある品物を売却するなどの行為は慎む必要があります。


管理義務が生じる場合


民法上、相続人は相続財産の管理義務を負うと解釈される場面があります。

相続放棄を決めても、放棄が正式に認められるまでは「限定承認」や「法定単純承認」にならないよう、適切に管理しなければならない場合があるのです。


例えば、放置すれば周囲に迷惑がかかる物(食品など)の処分は認められることが多いと考えられます。


賃貸物件の明け渡し


故人が賃貸物件に住んでいた場合、家賃が発生し続ける以上、物件を管理する賃貸会社やオーナーと協議し、明け渡しの手続きを進める必要があります。


物件の明け渡しには、部屋の中にある遺品を撤去する作業が不可欠なので、最低限の整理や荷物の搬出は避けられません。

この場合も、高価な財産を勝手に売却するのではなく、「所有権者(相続放棄していない相続人)がいないか」を確認しながら慎重に進めることが求められます。




相続放棄した場合の遺品整理の進め方


相続放棄後に遺品整理を行わざるを得ない場合、どのように進めればトラブルを回避できるのでしょうか。


ここでは、具体的な対処法をいくつかご紹介します。


日持ちしないものは処分しても問題ない


食品や生ゴミなど、放置すれば衛生上の問題が生じるものは「管理義務の範囲内」として処分が認められるケースが多いです。


実際に、「生活ごみ」とみなされる物については放置すると周囲に迷惑がかかりかねないため、速やかに処分することがむしろ適切な対応といえます。


写真や手紙などは形見分けとして引き継ぐ


写真や手紙など、財産価値ではなく思い出の価値が大きい品物は「形見分け」として家族に引き継がれることが多いです。


相続放棄といえど、「お金に換算できない想い出の品を受け取りたい」という気持ちは自然なものなので、これらを保管する行為自体が法律上の問題になる可能性は低いでしょう。


ただし、形見分けの範囲を超えて貴金属や宝飾品を持ち出したり売却したりすると、財産処分とみなされるおそれがあるため注意が必要です。




対応が難しい場合は遺品整理業者に依頼するのがおすすめ


相続放棄後の遺品整理は法的リスクも伴うため、自力での判断が難しい場面に多々遭遇するかもしれません。


そんな時、専門知識や経験を持つ「遺品整理業者」へ相談すれば、適法かつ効率的な方法での片付けを提案してもらえる可能性が高いです。

業者によっては、行政書士や弁護士と提携している場合もあり、相続放棄と遺品整理の関係に詳しいスタッフがアドバイスしてくれることもあります。




相続放棄した際に遺品整理をする場合の注意点


相続放棄と遺品整理が同時に絡む状況では、法的リスクを回避するために押さえておきたい注意点がいくつかあります。


ここでは、代表的なものを3つまとめてご紹介します。


相続財産の処分・消費・隠蔽はしない


相続放棄の手続き後に、大きな価値のある物品を処分・消費・隠蔽してしまうと、結果的に「財産を処分した」と見なされ、放棄が無効と判断されるリスクがあります。


これは、民法において定められている「法定単純承認(相続の意思表示とみなされる行為)」とされる可能性があるためです。

たとえ善意であっても、慎重に行動し、まずは専門家に相談することを心がけましょう。


預貯金や現金などには手を付けない


故人の銀行口座や家の中から見つかった現金などは、相続財産にあたります。

「少額だから大丈夫」と思って勝手に使ったり寄付したりすると、財産を消費したと見なされる恐れがあります。


相続放棄をする以上、預貯金や現金には手を付けず、必要があれば家庭裁判所や弁護士に指示を仰ぐようにしてください。


遺品を売却しない


貴金属や美術品、骨董品など、売却すれば現金化できる遺品を勝手に売る行為は「財産処分」とされる可能性が非常に高いです。


相続放棄をしているのに売却利益を得ることは論理的に矛盾するため、厳格に対処されるケースが多いでしょう。

むやみに売却せず、相続人(放棄をしていない人)の判断や専門家のアドバイスを受けながら対応するのが無難です。




相続放棄後の遺品整理を円滑に進めるために


相続放棄をしたからといって、必ずしも遺品に一切触れられないというわけではありません。

衛生や近隣への影響を避けるために、必要最低限の処分や整理が求められる場面もあり、まったく手を付けずに放置するのは現実的に難しいでしょう。

ただし、相続放棄をした後に「財産を処分した」とみなされる行為をすると、相続放棄が無効になる可能性があるため、注意が必要です。


ポイントは「相続財産になり得るもの(現金や高価な品)に手を付けないこと」や「衛生上や管理上、やむを得ない範囲でのみ整理すること」です。

もし高額な家具や車、不動産など、扱いが難しい物が含まれる場合は、法律の専門家や遺品整理業者に相談しながら進めるのが安全策です。

業者なら法律面や実務面での経験が豊富な場合が多く、相続放棄後の難しい対応にも柔軟にサポートしてくれるでしょう。


大阪の遺品整理業者・ストーリーズ株式会社では、故人の大切な遺品を丁寧に仕分けするだけでなく、相続や放棄に関わる複雑な事情も含めてご相談を受け付けています。


「法的なトラブルを避けながら遺品を整理したい」「相続放棄後の部屋を片付ける方法がわからない」など、お困りごとがあればぜひ当社にご相談ください。


安心かつ円滑に、故人の想いを大切にしながらお手伝いさせていただきます。


 

監修者




ストーリーズ株式会社 代表取締役

江里 知晃


<資格>


<略歴>

高校卒業後、大学では社会福祉学を専攻。卒業後、大手飲食店でキャリアを積み、顧客対応や店舗運営の経験を積む。その後、遺品整理専門会社を2社で6年間経験。

現在はストーリーズ株式会社の代表取締役に就任し、お客様の遺品整理業務に自ら尽力している。


<代表メッセージ>

私たちは、故人様とご遺族様の「物語(ストーリーズ)」を大切にし、お客様に「ストーリーズに頼んで良かった」と思っていただけるよう、日々遺品整理の業務に励んでおります。今後も、お客様に安心してお任せいただけるよう、全力を尽くしてまいります。




 

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※お電話での受付は回線工事が混み合っている為、代表の電話番号に直接繋がります。

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